技術解説

再生材・粉砕材の使用可否をどう決める?混合率と品質管理

再生材・粉砕材の使用可否をどう決める?混合率と品質管理

図面に指定しておきたい項目のひとつとして、【樹脂材料の図面表記はどこまで指定する?グレード併記と同等品の書き方】では再生材・粉砕材の使用可否を挙げました。本コラムでは、その使用可否をどのように判断し、使う場合にはどのように品質を管理すればよいかを解説します。

樹脂の再生材と粉砕材の違い

粉砕材は、成形工程で発生するスプルーやランナーなどを粉砕し、同じ工程に戻して使う材料です。一方、再生材は、市場から回収された製品などを原料とする材料を指すのが一般的です。

2つの言葉は混同されやすいため、図面や仕様書でどちらを指すのかを明記しておくと、発注側と成形側で取り決めの内容がそろいます。近年は環境配慮の観点から、再生材の使用を求められる場面も増えています。本コラムでは、射出成形の現場で扱うことの多い粉砕材を中心にご説明します。

粉砕材を混ぜると強度・色・寸法はどう変わるか

一度成形した樹脂は、成形時の熱の履歴を受けています。そのため粉砕材を混ぜると、新しい材料だけで成形した場合と比べて、次のような変化が起こり得ます。

まず、分子量が低下し、強度や靭性が下がることがあります。ガラス繊維強化材では、粉砕によって繊維が短くなり、強度の低下につながります。色の面では、黄変などの変化が現れることがあります。

また、粉砕した粒の大きさがそろっていないと、成形機での計量が不安定になり、寸法のばらつきの原因になります。粉砕や保管の工程で異物が混入するおそれがある点にも注意が必要です。

粉砕材の使用可否を判断する3つの基準

粉砕材の使用可否は、主に用途、特性の余裕度、取得している認証の3つの観点から判断します。

用途の面では、医療機器や安全に関わる部品では、粉砕材を使用しない取り決めとする例が多く見られます。特性の余裕度は、強度や外観の要求に対し、粉砕材による変化を見込んでも余裕があるかどうかです。UL登録など認証を取得している製品では、その規定の範囲で使用できるかを確認します。

最終的な判断は、製品の用途と求められる性能を最もよくご存じのお客様にお決めいただくことになります。

当社では、お客様に使用をお認めいただき、品質上の問題がないことを確認できた場合に粉砕材を使用しています。ただ実際には、外観の仕様を満たすことを優先して、使用が認められていても粉砕材を使わないケースも少なくありません。

粉砕材の混合率の決め方 ─ UL規定と繰り返し再生の考え方

混合率を決める際は、まず材料メーカーが推奨する混合率の上限を確認します。UL登録のあるグレードでは、同一グレード・同一色の粉砕材であれば、一定の比率まで混ぜても登録上の扱いが変わらない規定があります。適用には条件があるため、材料メーカーやULの規定で詳細を確認しておくと安心です。

あわせて知っておきたいのが、繰り返し再生の考え方です。粉砕材を一定の比率で混ぜ続けると、何度も熱を受けた樹脂が少しずつ含まれていきます。ただし、その割合は回数とともに急速に小さくなります。たとえば混合率20%では、熱履歴が1回の樹脂が80%、2回が16%で、3回以上の樹脂は全体の4%程度にとどまります。材料全体の状態はある水準で落ち着くため、評価はその落ち着いた状態の材料で行えばよいことになります。

粉砕材を使う場合の品質管理 ─ 乾燥・異物除去・ロット識別

粉砕材を使う場合は、次のような管理が必要です。

使う粉砕材は、同一グレード・同一色のものに限定します。粉砕時に出る微粉や異物は、成形不良の原因になるため取り除きます。粉砕材は吸湿している場合もあり、必要に応じて乾燥をします。決めた混合率を守るため、計量と混合の方法を定めておきます。

さらに、粉砕材を使ったロットを識別できるようにしておくと、万一の不具合の際に原因の切り分けがしやすくなります。定期的に物性を確認しておくことも大切です。

粉砕材の発生そのものを減らす方法として、ホットランナー金型の採用もあります。スーパーエンプラは材料費が高いため、材料ロスを減らす意味は大きくなります。粉砕材の使用可否や混合率の判断でお迷いの際は、材料の観点からご提案できますので、当社へご相談ください。

再生材・粉砕材の使用可否チェックリスト

・図面や仕様書で、粉砕材と再生材のどちらを指すかを明確にしているか
・用途と取得している認証から、使用の可否を判断しているか
・強度と外観の要求に、粉砕材を混ぜても余裕があるか
・混合率の上限を、材料メーカーの推奨値や認証の規定で確認しているか
・同一グレード・同一色に限定し、乾燥と異物除去の方法を決めているか
・粉砕材を使ったロットを識別できるようにしているか

まとめ

粉砕材の使用可否は、用途、特性の余裕度、取得している認証の3つの観点から判断します。使う場合は、材料メーカーの推奨値や認証の規定をもとに混合率を決め、同一グレード・同一色への限定、乾燥、ロットの識別といった管理を行うことで、安定した品質を保てます。粉砕材や再生材の扱いでお困りの際は、ぜひ当社へご相談ください。
 

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