chemSHERPA・SDS・不使用証明書の違いとは?成形品での使い分け
成形品を調達する際には、含まれる化学物質について、さまざまな文書の提出を求められることがあります。chemSHERPA、SDS、不使用証明書はいずれも化学物質に関わる文書ですが、目的と対象が異なります。
SDSを含む材料の証明書の基本については、【CoA・CoC・SDSは何が違う?樹脂材料の証明書入門】で解説しています。本コラムでは、成形品に含まれる化学物質の情報をどのように伝えるかに絞って、3つの文書の違いと使い分けを整理します。
chemSHERPA・SDS・不使用証明書の違い ─ 目的・対象・様式の比較
3つの文書は、次のように整理できます。
| 文書 | 目的 | 対象 | 様式 |
|---|---|---|---|
| SDS | 取り扱い上の安全情報を伝える | 材料(化学品) | 法令で項目が定められている |
| chemSHERPA | 含有化学物質の情報を伝える | 材料と成形品 | 業界共通の様式 |
| 不使用証明書 | 特定物質を使っていないことを宣言する | 主に成形品 | お客様指定の様式が多い |
SDSは、材料を取り扱う人の安全を守るための文書です。通常の成形品は、一般にSDS交付の対象となる化学品とは区別されます。成形品に含まれる化学物質の情報は、chemSHERPAや不使用証明書で伝えるのが一般的です。
chemSHERPAとは ─ CIとAIの違いと情報の流れ
chemSHERPAは、製品に含まれる化学物質の情報を、サプライチェーン全体で共通の様式によって伝えるための仕組みです。経済産業省が主導して開発し、現在はアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)が運営しています。
chemSHERPAには、化学品(材料)向けのchemSHERPA-CIと、成形品向けのchemSHERPA-AIの2種類があります。樹脂の成形品の場合、材料メーカーが作成したCIを成形メーカーが受け取ります。成形メーカーはその情報をもとに成形品のAIを作成し、お客様へ提出します。
成形品のAIを作成する際は、主材料の樹脂だけでなく、着色剤や添加剤、インサート部品なども含めて情報を集める必要があります。そのため、成形品に使われているすべての材料について、仕入れ先から情報を得ておくことが欠かせません。
chemSHERPAで扱う管理対象物質は、EUのRoHS指令やREACH規則のSVHC(高懸念物質)などをもとにしたリストです。このリストは規制の動きに合わせて定期的に改訂されます。
不使用証明書と非含有証明書の違い
不使用証明書は、特定の物質を使っていないことを宣言する文書です。お客様のグリーン調達基準などに基づき、指定の様式で求められることが多くあります。
似た文書に非含有証明書がありますが、2つは意味が異なります。不使用は、その物質を意図的に使用していないことを示します。一方、非含有は、含有量が定められた基準値以下であることを示します。どちらを求めているのかを明確にしていただけると、回答の根拠がそろい、やり取りがスムーズになります。
非含有を示すために、蛍光X線分析などの分析データを求められる場合もあります。分析の要否と方法も、あわせて確認しておくと安心です。
化学物質規制の改訂と情報の更新 ─ SVHCの追加とPFAS
化学物質の規制は、年々対象が広がっています。REACH規則のSVHCは定期的に追加されており、近年はPFASのように、規制の対象となる物質群が大きく広がる動きもあります。
規制が改訂されると、過去に提出した文書の再提出を求められることがあります。また、材料メーカーが配合を変更した場合にも、含有化学物質の情報が変わることがあります。材料メーカーからの変更の通知を把握し、情報を最新の状態に保つことが大切です。
化学物質情報の取り決め方 ─ 品質保証協定書に記載する項目
化学物質の情報については、次のような項目をあらかじめ取り決めておくと安心です。
・どの文書で回答するか(chemSHERPAか、お客様指定の様式か)
・規制の改訂時に、再提出をどのタイミングで行うか
・分析データが必要かどうか
これらは品質保証協定書などに記載しておくのが一般的です。
当社では、品質保証協定書など、お客様ごとの取り決めに応じて、化学物質に関する文書に対応しています。必要な文書の種類や様式をあらかじめお知らせいただけると、材料メーカーへの情報の確認を含めて、準備を早めに進められます。材料に含まれる化学物質についてご不明な点があれば、当社へご相談ください。
化学物質情報の文書チェックリスト
・SDS、chemSHERPA、不使用証明書のどれが必要かを明確にしているか
・chemSHERPAのCIとAIのどちらが必要かを把握しているか
・着色剤や添加剤、インサート部品も含めて情報を集めているか
・不使用と非含有のどちらを求めているかを明確にしているか
・分析データの要否を決めているか
・規制の改訂時の再提出のタイミングを取り決めているか
まとめ
SDSは材料の取り扱いの安全情報、chemSHERPAは材料と成形品の含有化学物質の情報、不使用証明書は特定物質を使っていないことの宣言を、それぞれ伝える文書です。不使用と非含有の違いや、規制の改訂への対応も含めて、品質保証協定書などで取り決めておくと、化学物質の情報を滞りなくやり取りできます。化学物質に関する文書でお困りの際は、ぜひ当社へご相談ください。


