技術解説

スマート工場が実現するコスト競争力と汎用エンプラ部品の大量生産

スマート工場が実現するコスト競争力と汎用エンプラ部品の大量生産

現代の製造業は、グローバルな価格競争の激化、人手不足の深刻化、そして顧客ニーズの多様化による多品種少量生産から、安定供給が求められる大量生産まで、複雑かつ高度な課題に直面しています。特に、コストを抑えながら高品質な製品を、要求される納期通りに安定供給することは、企業の競争力を左右する重要な要素です。
このような時代背景のなか、製造業ではIoTやAIといったデジタル技術を駆使して生産性を劇的に向上させる「スマート工場」化が潮流となっています。プラスチック射出成形の世界でも、その中核をなす「自動化」と「無人化」が、これらの課題を解決する鍵として注目されています。
本コラムでは、府中プラが構築した「スマート工場」としての無人成形による大量生産体制が、いかにお客様のコスト競争力向上と安定調達に貢献できるのか、その強さの秘密を具体的な設備環境や運用体制とともにご紹介します。特に、PBT、PA、POM、PC、mPPEといった汎用エンプラ部品の量産をご検討中のご担当者様は、ぜひ最後までご覧ください。

50トン成形機を中心とした設備環境

府中プラの強みのひとつは、徹底的に効率化を追求した最新の設備環境です。小型精密部品の成形に適した50トンクラスの電動射出成形機を多数保有し、その能力を最大限に引き出す体制を整えています。

30~50トンの電動成形機を20台以上保有

府中プラは、お客様からの大量生産のご要望に迅速かつ柔軟にお応えするため、30~50トンの電動成形機を20台以上保有しています。この設備規模により、月間数百万個といった大ロットの生産にも余裕を持って対応可能です。また、複数の成形機を同時に稼働させることで、急な増産要求や短納期案件にも対応できる生産キャパシティを確保しています。万が一、特定の機械にトラブルが発生した場合でも、他の機械で生産をカバーできるため、お客様への供給責任を果たすためのBCP(事業継続計画)対策としても機能します。

全台が高温仕様(400℃対応)

保有する成形機は、そのすべてがシリンダー温度を400℃以上に昇温可能な高温仕様です。これにより、一般的な汎用エンプラはもちろんのこと、PEEK、PEI、PSU、LCP、PPS、PA9Tといたスーパーエンプラの成形も可能にしています。スーパーエンプラは、金属代替としても注目される高機能材料ですが、その成形には高度な温度管理と専門的なノウハウが不可欠です。全成形機が高温に対応していることは、府中プラの技術力の高さを証明すると同時に、お客様が求める多種多様な材料への対応力を保証するものです。

汎用エンプラからスーパーエンプラまで幅広い材料に対応

この設備環境により、府中プラはPBT、PA、POM、PC、mPPEといった汎用エンプラから、前述のスーパーエンプラまで、非常に幅広い樹脂材料を取り扱うことができます。お客様は、部品の要求性能や用途に応じて、最適な材料を選択し、その成形をワンストップでご依頼いただけます。材料ごとに委託先を探す手間を省き、開発から量産までをスムーズに進行させることが可能です。

スマート工場を支える生産効率を重視した無人成形体制

最新の設備を最大限に活かすために、府中プラは先進の自動化技術を駆使した「無人成形体制」を構築しています。これにより、24時間365日の連続生産を実現し、生産効率を飛躍的に向上させています。

取り出し機による無人成形

各成形機には、製品を自動で取り出すための「取り出し機(ロボット)」を装備しています。成形サイクルに合わせて、金型から成形品を正確かつ迅速に取り出し、次工程へと搬送します。このロボットによる自動化により、従来は人手に頼っていた作業を完全になくし、無人での連続運転を可能にしました。

夜間や休日も安定稼働が可能

無人成形体制の最大のメリットは、人が介在しない夜間や休日も工場を稼働させられることです。これにより、設備稼働率が劇的に向上し、圧倒的な生産能力を実現します。お客様にとっては、リードタイムの短縮に直結する大きな利点となります。週末を挟む場合でも生産ラインは止まることなく動き続けるため、週明けには大量の製品を供給することが可能です。

生産管理システム

無人成形を安定して運用するためには、周辺設備との高度な連携が不可欠です。府中プラは、金型や樹脂原料を保管する「自動倉庫」を導入し、効率的に加工する仕組みを構築しています。工場内のすべての機器はIoTで接続され、独自の「生産管理システム」によって一元管理されています。各成形機の稼働状況、生産進捗、品質データなどをリアルタイムで収集・可視化し、異常を検知した際には即座にアラートを発します。これにより、無人でありながらも、データに基づいた極めて安定した生産管理を実現しています。

大量生産・コスト競争力のポイント

これまで述べてきたスマート工場化を推進する最新設備と無人成形体制は、お客様に3つの具体的な価値「大量ロット・短納期対応」、「コスト最適化」、「品質安定化」を提供いたします。

大量ロット・短納期対応

20台以上の成形機が24時間体制で稼働することにより、月産数百万個単位の大量生産にも余裕をもって対応できます。また、一人の作業者が複数の成形機を管理する「多台持ち運用」を徹底することで、多品種の製品を同時に生産することも可能です。これにより、「A製品を50万個、B製品を30万個」といった複数の大量ロット案件にも、柔軟かつスピーディーに対応し、お客様の厳しい納期要求にお応えします。

コスト最適化

無人成形は、コスト競争力に直結します。夜間・休日の無人運転は、人件費を大幅に抑制しながら生産量を最大化します。また、設備稼働率を極限まで高めることで、1ショットあたりの製造原価を低減させることが可能です。このようにして創出されたコストメリットは、お客様への提供価格に反映され、製品のトータルコストダウンに大きく貢献します。府中プラは、高品質な製品を、競争力のある価格で提供することをお約束します。

品質の安定化

自動化・無人化は、コストやスピードだけでなく、「品質の安定化」にも極めて重要な役割を果たします。
まず、成形プロセスが完全に自動化されることで、温度、圧力、速度といった成形条件が厳密に標準化されます。これにより、作業者の経験や勘に頼る部分がなくなり、人による品質のバラつきを根本から排除します。いつ、誰が、どの機械で生産しても、常に同じ品質の製品を生み出すことが可能です。
さらに、品質保証体制として、高精度な三次元測定機や画像測定機を導入しています。これらの検査設備を活用し、寸法精度や外観品質の検査体制が整備されています。自動化された生産ラインと、徹底した品質検査体制の組み合わせにより、お客様に安心してお使いいただける高品質な製品を安定的にお届けします。

PBT・PA・POM・PC・mPPEなど汎用エンプラ部品の大量生産に最適

スーパーエンプラなどの高機能材料で培った高度な成形技術と、本コラムでご紹介したスマート工場としての自動化・無人化設備との融合は、PBT、PA、POM、PC、mPPEといった汎用エンプラの大量生産においても大きな強みを発揮します。
これらの材料は、各種コネクタ、電気電子部品、ギアなどの機構部品など、身の回りの様々な製品に広く使用されており、安定した品質とコストの両立が強く求められる分野です。
府中プラは、これらの汎用エンプラにおいても、材料特性を深く理解した上での最適な成形条件の設定と、自動化による徹底した生産効率の追求により、お客様の要求仕様を満たす高品質な部品を、競争力のある価格で大量に供給してきた豊富な実績があります。汎用エンプラだからこそ、スケールメリットを活かしたコストダウンのインパクトは大きくなります。長年のノウハウと最新設備を掛け合わせることで、お客様のビジネスに貢献します。

事例・実績紹介

①ハードディスク部品(絶縁ブッシュ)
②材料:PA6、PBT
③生産数:月産 約4,000万個
④独自の金型設計と成形条件の最適化技術を駆使し、最薄部0.2mmの超薄肉設計や難燃グレード(UL94 V-0)といった高難度な要求に応え、量産下でも一貫した品質での安定生産を実現します。この技術は生産の自動化にも活かされており、サイドゲートの8個取り成形・ゲートカット・離型剤の自動噴霧までを1サイクルに集約することでハイサイクル成形を可能にし、目視による外観検査と合わせて万全の品質体制を整えています。

①家具部品(ブッシュラッチ)
②材料:PA6
③生産数:月産 約100万個
④ヒンジ部の強度を確保するため、金型による肉厚調整を行っています。肉厚が厚すぎると曲げにくく、薄すぎると割れやすくなるため、最適な厚みに設計しています。また、ウエルドラインがヒンジ部に発生しないよう、ゲート位置にも十分配慮しています。

①センサーケース
②材料:mPPE
③生産数:月産 約23万個
④高い寸法精度とAssy性が求められる機能部品において、独自の金型構造と成形条件の最適化により、無数の穴を追加工なしで高精度に成形し、平面度1/100台という厳しい公差もクリアすることで、製品の高い信頼性を実現しています。

まとめ

本コラムでは、当社の強みである「無人成形による大量生産体制」と、それがもたらす「コスト競争力」についてご紹介しました。

  • 30~50トン成形機20台以上を中心とした最新設備
  • IoTとロボティクスが連携するスマート工場としての24時間無人成形体制
  • 「短納期」「コスト」「品質」のすべてを高いレベルで実現
  • PBT、PA、POM、PC、mPPEなど汎用エンプラ部品の大量生産に対応

「既存のサプライヤーではコストが見合わない」「より安定した供給先を探している」「急な増産に対応できるパートナーが欲しい」といったお悩みはございませんか。
当社のスマート工場としての生産体制は、そうしたお客様の課題を解決するために構築されたものです。
PBT、PA、POM、PC、mPPEなどの汎用エンプラ製部品の大量生産も、ぜひ府中プラにご相談ください。
お客様の図面や仕様に基づき、最適な生産方法とコストをご提案させていただきます。


こちらからお気軽にお問い合わせください。

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