構造設計 解説(全14回) - 射出成形部品の構造設計を多角的に探る
                    射出成形部品の構造設計では、材料物性・成形条件・形状設計・解析結果など、異なる知見を実際の設計判断として束ねる力が求められます。このシリーズは、設計者がそれぞれの課題を「構造の視点」で整理できるよう、さまざまなテーマから設計思考を掘り下げた全14回の技術コラムです。各回は独立した内容ながら、全体として設計知を段階的に学べる構成としています。
Part 1 材料特性と変形の理解
構造設計の出発点は、材料の特性を正しく読み解き、挙動を予測することにあります。ここではエンプラの力学特性を基盤に、荷重変形や時間依存変形の制御を考察します。
第1回 構造設計で読み解くエンプラの機械的強度 - 材料選定のフレームワーク
第2回 射出成形部品の設計における「たわみ予測」 - 荷重変形を制御する設計思考
第3回 クリープ変形を制御する構造設計 ― 時間依存変形を設計段階で抑制する4つのセオリー
Part 2 形状設計と応力分散
形状は、強度・剛性・耐久性を左右する設計要素です。リブやボスなどの基本構造から接合部の検討まで、応力をどのように流し、逃がすかという視点で解説しています。
第4回 リブ設計から“荷重経路設計”へ - 応力を逃がす構造発想
第5回 射出成形部品の強度設計セオリー - 主要エンプラ7種の使い分け
第6回 射出成形部品の強度再現性を高める - ばらつきを制御する設計理論
第7回 射出成形部品の最適接合法 ― 超音波溶着/レーザー溶着/インサート成形の設計判断
第8回 射出成形部品のはめあい・嵌合(勘合) ― クリアランス・応力・寸法安定の三位一体設計
Part 3 成形歪と寸法安定性の設計
成形歪や反りは、設計上の構造と成形工程の両方に起因します。本Partでは、応力を閉じ込めず“逃がす”という設計思想に基づき、寸法安定と流動経路の考え方を整理しています。
第9回 残留応力を逃がす構造設計 ― 成形歪を“抑える”ではなく“逃がす”発想
第10回 反りを許容する設計 ― 反り(ソリ)ゼロを目指さない平面設計
第11回 ゲート配置と応力経路 ― 成形流動を味方につける設計思考
Part 4 解析活用と設計品質の向上
解析や統計的手法を活用して、設計判断を定量化する視点をまとめています。CAEで応力を読み解く思考から、設計のばらつきを“数値で管理する”アプローチまでを網羅します。
第12回 CAEで応力を“読む”設計者思考 - 解析結果を活かす設計判断力
第13回 剛性・強度・変形を同時に最適化する設計解析 - トレードオフを超える思考法
第14回 設計再現性を定量化する“μ–σ設計” - ばらつきを制御する確率的設計法
本シリーズは、樹脂構造設計にかかわる技術者が「形の裏にある力の流れを読む」ための実践的な知見を整理したものです。材料理解から形状設計、成形歪解析、CAE評価、品質の定量化まで、各領域を横断して“構造で考える設計”の基盤を築くことを目指しています。
















