LCPとは
LCPは、コネクタや表面実装電子部品等の電子部品、モバイル・AV機器の内部部品、自動車部品、医療機器など、高精度・高機能が求められる用途で幅広く使用されています。
1.卓越した耐熱性
高い熱変形温度(HDT)を持ち、連続使用温度も非常に高いため、高温環境下でも安定した機械的特性を維持できます。そのため、電子部品や自動車のエンジン周辺部品など、過酷な温度条件下での使用に適しています。
2.優れた寸法安定性
熱膨張係数が低く、温度変化による寸法変化が少ない特性を持ちます。このため、精密成形が求められるコネクタや半導体関連部品などの用途に適しており、高い寸法精度が必要な分野で活用されています。
3.優れた耐薬品性
酸、アルカリ、有機溶剤に対して高い耐性を持ち、多くの化学物質に対して安定した特性を示します。化学工業用途や医療機器など、耐薬品性が求められる環境での使用に適しています。ただし、一部の高温濃硫酸などには影響を受ける可能性があるため、使用環境の選定には注意が必要です。
4.優れた成形性
溶融粘度が低く、流動性に優れているため、射出成形時の充填性が高く、微細な形状や薄肉成形が容易です。この特性により、複雑な形状の成形にも適しています。ただし、バリの発生には注意が必要です。
5.優れた電気的特性
低誘電率と高い絶縁性を持ち、高周波環境下でも安定した性能を発揮します。このため、5G通信機器、電子デバイス、フレキシブルプリント基板(FPC)など、高周波特性が求められる用途に適しています。
6.優れた機械的特性
高剛性・高強度を有し、耐荷重部品にも適用可能です。ただし、靭性が低いため、衝撃強度はやや劣ります。PEEKと比較すると耐衝撃性は低いものの、PPSよりも耐熱性や寸法安定性に優れています。
LCPを推奨する用途・ニーズ
01 EE(コネクタ、リレースイッチ)

LCP(液晶ポリマー)は、優れた耐熱性と寸法安定性を兼ね備えた材料であり、電子部品に最適です。特に、250℃以上の高温環境でも形状を維持し、リフローはんだ工程を伴う用途に適しています。
また、高湿度環境でも電気特性の変化が少なく、信頼性の高いコネクタやリレースイッチのハウジング材として使用されています。LCPの高い流動性は、微細成形を可能にし、高密度実装基板や小型コネクタの端子保持部にも適しています。また高い電気絶縁性を備え、EMI対策が必要な電子機器にも適用可能です。
02 医療機器

LCPは、医療機器に求められる耐薬品性と寸法安定性を兼ね備えた材料です。酸・アルカリや消毒剤への耐性が高く、オートクレーブ滅菌にも耐えうるため、繰り返し使用される医療機器部品に適しています。
また、LCPは、経年変化が少なく、高精度な医療機器の内部部品としても安定した動作が期待できます。さらに、低アウトガス性を有し、医療環境におけるガス発生による影響を最小限に抑えることができます。具体的な用途としては、内視鏡部品、薬液ポンプのバルブ、カテーテルコネクタなどがあり、長期間の使用に耐える信頼性の高い部品として採用されています。当社は、この業界に積極的に提案しています。
03 高寸法構造部品

LCPは、高い剛性と寸法安定性を持つため、高精度が要求される機械構造部品に適しています。熱膨張係数が低く、温度変化による寸法変化がほとんどないため、精密機器の内部部品や摺動部品に最適です。
また、200℃以上の環境でも機械特性を維持できるため、過酷な条件下でも長期間にわたり安定した性能を発揮します。具体的な用途として、高精度ギア、精密モーターハウジング、センサー部品などがあり、特に金属代替が求められる軽量設計において大きな利点をもたらします。
さらに、耐薬品性に優れるため、化学プラントや分析装置の構成部品としても活用され、幅広い分野でその性能が評価されています。この分野での課題解決については、ぜひ当社までご相談ください。
当社のLCP成形における強み
01 製品デザイン、金型デザインに関するノウハウ

LCPは、優れた耐熱性と高強度、耐摩耗性を兼ね備えており、特に高温環境下での使用が求められる部品や精密機器、さらには小型で強度が必要な電子部品に最適です。これらの特性を活かした製品設計を行うには、流動性や異方性収縮に対する十分な配慮が必要です。当社では、LCP特有の収縮特性を考慮した金型設計を行い、均等な冷却回路設計と金型温度の最適化により、精密で安定した品質の製品を提供しています。
また、LCPは優れた機械的特性を持つため、薄肉化や複雑形状にも対応可能であり、リブ厚やボス肉厚の最適化を行うことで、軽量化と高精度を両立させています。さらに、LCPは成形時にガスが発生しやすいため、当社では高効率なガス抜き設計を施し、金型の寿命を延ばしつつ、安定した製品品質を確保します。
02 最適な成形条件の設定

LCP樹脂は、その非常に高い流動性を活かして、極めて細かなパーツや複雑な形状にも対応可能ですが、そのためには金型設計における細かな調整が必須です。特に、成形時の収縮率や冷却効率の管理が重要となります。当社では、冷却回路設計の最適化やゲート位置の工夫を行い、LCP特有の収縮差を最小限に抑え、製品の寸法安定性を確保します。これにより、基板上の精密部品やコネクタピンなど、寸法精度が要求される部品にも対応しています。
LCPの特性を最大限に引き出すため、極端な応力集中を防ぐためにリブ設計やボス形状の最適化を行います。これにより、高い耐熱性が求められる装置に使用される部品においても、安定した品質を実現しています。
例えば、高耐熱が求められるコネクタ、通信機器の端子など微細形状のある部品においては、金型温度や射出速度の最適化が重要です。当社では、金型温度を180~200℃程度に設定し、固化速度の調整を行うことで、ヒケや変形を抑え、安定した品質を提供しています。
このように、LCPは特定用途において非常に優れた性能を発揮し、当社ではその特性を活かした最適な金型設計と成形条件により、高精度で高品質な部品製造を実現しています。