樹脂材料のセカンドソース化とは?代替グレードの評価項目と進め方
図面に評価済みの複数のグレードを併記する書き方については【樹脂材料の図面表記はどこまで指定する?グレード併記と同等品の書き方】で、指定グレードが廃番になったときの対応については【樹脂グレードが廃番になったらどうする?代替材料選定と再評価の進め方】で解説しています。本コラムでは、廃番などの供給の問題が起きる前に、第2のグレードを計画的に評価し、承認しておくための進め方に絞ってご説明します。
樹脂材料のセカンドソース化とは ─ 供給ストップへの備え
セカンドソース化とは、現在使っているグレードと同じ要求性能を満たす別のグレードを、あらかじめ評価し、承認しておくことです。多くの場合、他の材料メーカーのグレードが対象になります。
樹脂材料の供給が途絶える理由は、廃番だけではありません。材料メーカーの工場の事故や自然災害、需給のひっ迫によって、特定の材料が一時的に手に入らなくなることがあります。
こうした事態が起きてから代替材料を探し始めると、評価に使える期間は限られ、在庫が尽きるまでに切り替えが間に合わないおそれがあります。平時に計画的に評価を済ませておくことで、供給の問題が起きても、承認済みのグレードに切り替えて生産を続けられます。
セカンドソース化の対象と優先度の決め方
すべての部品でセカンドソース化を行うのは、評価の負担を考えると現実的ではありません。供給が途絶えたときの影響の大きさから、優先度を付けて進めます。
優先度が高いのは、1つの材料メーカーしか扱っていないグレード、特殊な充填材や配合を持つグレード、生産数量の多い製品、今後も長く生産が続く製品などです。
なお、グレードによっては、他の材料メーカーに相当するものが存在しない場合もあります。対象を決める段階で、相当グレードがあるかどうかを確認しておきます。
候補グレードの探し方
候補を選ぶ際は、樹脂の種類、充填材の種類と含有率を揃えたうえで、他の材料メーカーの相当グレードを探します。
ただし、データシートの物性値が近くても、成形収縮率や流動性、色の出方まで同じとは限りません。これらは量産での寸法や外観に直結するため、候補の段階で材料メーカーに確認しておくことが大切です。
府中プラでは、材料のご相談を強みの一つとしています。材料メーカーと協議したうえで、成形の観点も含めて相当グレードの候補をご提案していますので、セカンドソースの候補選びでお迷いの際はご相談ください。
セカンドソースの評価項目と進め方 ─ 同じ金型で寸法に収まるか
セカンドソースの評価では、主に次の項目を確認します。
成形性は、適正な成形条件の幅、充填のしやすさ、バリや離型の状態です。寸法は、成形収縮率の違いによる差を確認します。多数個取り金型では、全キャビティで確認します。外観は、色やウェルドラインの出方を、限度見本などの基準と照らし合わせます。
製品の機能に関わる特性として、用途に応じて強度、耐熱性、耐薬品性、電気特性、摺動性などを確認します。長く使われる製品では、長期の耐熱性や湿熱、熱衝撃といった信頼性の評価も必要です。UL登録や食品・医療関連の認証を取得している製品では、セカンドソースでも同じ認証が得られているかを確認します。
中でも重要なのが、同じ金型で両方のグレードを成形し、どちらも図面の寸法に収まるかどうかです。成形収縮率の差が大きく、金型を共用できない場合は、グレードごとに金型が必要になり、セカンドソースとして運用するのが難しくなります。
評価は、評価計画の作成、同じ金型での試作、各項目の評価、判定の順に進めます。評価の範囲と合否の判定方法は、製品の用途と求められる性能を最もよくご存じのお客様に、最終的にお決めいただくことになります。当社では、材料メーカーと協議したうえで、どのような評価が必要と考えられるかについてアドバイスしています。
承認後の維持管理 ─ 図面への併記と定期的な使用
セカンドソースを承認したら、図面に両方のグレードを併記し、どちらを使ってもよいことを明確にします。成形条件はグレードごとに管理し、どのロットにどちらのグレードを使ったかを識別できるようにしておきます。
見落とされやすいのが、承認後の維持です。承認したセカンドソースを長く使わずにいると、いざ切り替えるときに、成形条件が現在の設備に合わなくなっていたり、グレードの配合が変更されていたりすることがあります。セカンドソースでも成形しておくことができれば、必要なときに確実に切り替えられる状態を保てます。
樹脂材料のセカンドソース化チェックリスト
・供給途絶の影響が大きい部品から、優先度を付けているか
・相当グレードが存在するかを確認しているか
・成形収縮率、流動性、色を材料メーカーに確認しているか
・同じ金型で両方のグレードが図面の寸法に収まるかを確認しているか
・用途に応じた機能と信頼性の評価項目を決めているか
・承認したグレードを図面に併記しているか
・セカンドソースでも定期的に成形しているか
まとめ
セカンドソース化は、供給の途絶に備えて、平時に第2のグレードを評価し、承認しておく取り組みです。影響の大きい部品から優先度を付け、成形性や寸法だけでなく、用途に応じた機能や信頼性まで評価したうえで承認します。特に、同じ金型で両方のグレードが寸法に収まるかどうかは、セカンドソースが成り立つかどうかを左右します。承認後も定期的に使い続けることで、いざというときに確実に切り替えられる状態を保つことができます。
府中プラでは、材料メーカーとの協議をもとに、候補グレードの選定から評価の進め方まで、セカンドソース化をお手伝いしています。



