樹脂グレードが廃番になったらどうする?代替材料選定と再評価の進め方
射出成形品の図面に、材料をどこまで具体的に指定すべきかについては、【樹脂材料の図面表記はどこまで指定する?グレード併記と同等品の書き方】で解説しています。また、樹脂材料ごとの特性は材料カテゴリの各記事で整理しています。本コラムでは、図面で指定しているグレードについて、実際に廃番の通知を受けたときに、何から確認し、どう代替材料を選び、どこまで再評価するかに絞ってご説明します。
樹脂材料のグレードが廃番になる理由と通知の流れ
樹脂材料のグレードが廃番になる理由はさまざまです。材料メーカーの事業再編や生産拠点の集約、原料や添加剤の調達が難しくなること、配合している成分が法規制の対象になることなどが挙げられます。
廃番は、多くの場合、一定の予告期間を置いて通知されます。材料を直接購入しているのは成形側であることが多いため、発注側は成形側を経由して廃番を知ることが一般的です。通知を受けてから最終購入の期限までの期間をどう使うかが、その後の対応を左右します。
廃番の通知を受けたら最初に確認する4つのこと
通知を受けたら、まず次の点を確認します。
1つ目は、最終購入の時期と、購入できる数量です。2つ目は、その数量で、製品の今後の生産を賄えるかどうかです。製品の生産終了が近い場合には、代替材料を探さず、最終購入で必要量を確保して乗り切るという判断もあり得ます。ただし、樹脂材料にも保管できる期間の目安があるため、まとめて購入する場合は保管の条件も確認します。
3つ目は、材料メーカーが推奨する後継グレードがあるかどうかです。4つ目は、図面にすでに評価済みのグレードが併記されているかどうかです。併記があれば、そのグレードへの切り替えで対応でき、新たな評価の手間を大きく減らせます。
代替材料の探し方 ─ データシートの比較だけでは判断できない理由
代替材料の候補は、一般に、同じ材料メーカーの後継グレード、他の材料メーカーの相当グレード、配合の近い別のグレード、の順に探していきます。
このとき注意したいのは、データシートの物性値を並べて比べるだけでは、十分な判断ができないことです。材料メーカーによって試験の条件が異なる場合があり、数値をそのまま比べられないことがあります。また、成形収縮率や流動性、色の出方といった成形のしやすさや仕上がりに関わる特性は、データシートからは読み取りにくい部分です。
代替材料の選定は、材料の知識と成形の経験の両方が求められる作業です。府中プラでは、材料のご相談を強みの一つとしており、エンプラ・スーパーエンプラを中心に約900種類のグレードで成形してきた経験をもとに、代替グレードの候補をご提案しています。廃番の通知を受けて代替材料をお探しの際は、ぜひ当社にご相談ください。
代替材料の再評価 ─ 変更内容に応じた範囲と追加評価
代替材料が決まったら、変更内容に応じて、再評価の範囲を決めます。
同じ材料メーカーの後継グレードであれば、配合の差が小さい場合が多く、寸法と外観の確認が中心になります。他の材料メーカーの相当グレードでは、寸法と外観に加えて、機械的な特性や成形性の確認も必要です。樹脂の種類そのものを変える場合は、製品の設計の見直しに近い評価が必要になります。
ただし、代替材料の評価は、成形できるかどうかの確認だけでは済まない場合があります。製品の使われ方によっては、耐薬品性や長期の耐熱性、荷重を受け続けたときの変形、電気的な特性、接着や溶着、塗装との相性など、使用環境での性能を確かめる評価が必要になります。
あわせて確認しておきたいのが、成形収縮率の違いです。収縮率が異なれば、同じ金型で成形しても寸法が変わり、金型の修正が必要になることがあります。また、UL登録や、食品・医療関連の認証を取得している製品では、材料の変更によって認証の取り直しが必要になる場合があります。
評価の範囲と合否の判定方法は、製品の用途と求められる性能を最もよくご存じのお客様に、最終的にお決めいただくことになります。その判断の材料として、当社では材料メーカーと協議したうえで、どのような追加評価が必要と考えられるかについてアドバイスしています。評価項目の詳細と進め方については、【樹脂材料のセカンドソース化とは?代替グレードの評価項目と進め方】で解説しています。
旧材料から新材料への切り替えの段取り
再評価には時間がかかるため、評価の期間を旧材料の在庫でつなげるよう、最終購入の数量を決めておきます。
評価を終えたら、図面を改訂し、初品検査を行い、承認を経て量産に切り替えます。図面改訂の進め方は【射出成形品の図面改訂をどう管理する?設計変更時の金型修正と新旧切り替え】、初品検査は【射出成形品の初品検査とは?確認項目・成績書・初物検査との違い】で解説しています。
切り替えの際は、旧材料で成形したロットと新材料で成形したロットを区別できるようにしておきます。万一、切り替え後に不具合が見つかった場合にも、対象の範囲をすぐに特定できます。
樹脂材料の廃番対応チェックリスト
・最終購入の時期と数量を確認しているか
・最終購入で今後の生産を賄えるかを検討しているか
・材料メーカーの推奨する後継グレードを確認しているか
・図面に評価済みのグレードが併記されているかを確認しているか
・代替材料の成形収縮率の違いと、金型修正の要否を確認しているか
・認証の取り直しが必要かを確認しているか
・旧材料と新材料のロットを区別できるようにしているか
まとめ
指定グレードの廃番は、事前の予告があるとはいえ、対応に使える期間は限られます。通知を受けたら、最終購入の数量と生産計画を照らし合わせ、代替が必要な場合は、候補の選定と、変更の大きさに応じた再評価を計画的に進めることが大切です。
代替材料の選定は、データシートの比較だけでは判断が難しく、材料と成形の両方の知見が求められます。府中プラでは、材料のご相談を強みとして、代替グレードの選定から評価、量産への切り替えまでをお手伝いしています。廃番への対応でお困りの際は、お気軽にご相談ください。





