技術解説

射出成形品の初品検査とは?確認項目・成績書・初物検査との違い

射出成形品の初品検査とは?確認項目・成績書・初物検査との違い

新しい金型で成形を始めるときや、金型や材料を変更したときには、量産に入る前に初品検査を行います。初品検査は、金型と成形条件が図面どおりの製品を安定して作れるかを確かめ、量産への移行を承認するための検査です。

寸法の測定方法については、【多数個取り金型の寸法検査は全キャビティ測定が必要か ─ キャビティ間差の管理】と【樹脂成形品の寸法測定はいつ行う?後収縮・吸水による寸法変化と測定条件】で解説しています。本コラムでは、初品検査の全体像として、必要になるタイミング、確認する項目、成績書の内容、承認後の管理を整理します。

初品検査とは ─ FAIとの関係と初物検査との違い

初品検査とは、量産を始める前に成形した製品について、図面に定められた項目をすべて確認し、量産に移行してよいかを判断する検査です。英語ではFAI(First Article Inspection)と呼ばれます。航空宇宙分野ではAS9102、自動車分野ではPPAPという形で、提出物や手順が体系化されています。

似た言葉に「初物検査」があります。初物検査は、毎回の生産の開始時に、最初に成形した製品で成形条件や品質に異常がないかを確かめる検査を指すことが一般的です。一方、初品検査は、量産そのものを承認するための検査で、目的が異なります。現場によっては呼び方が入れ替わることもあるため、どちらを指すのかを確認しておくと、準備の内容がそろいます。

初品検査が必要になるタイミング

初品検査は、新規の金型で量産を始めるときだけでなく、製品の品質に影響する変更があったときにも行います。主なタイミングは次のとおりです。

・新規金型で量産を始めるとき
・金型を修正・改造したとき
・図面を改訂したとき
・材料のグレードを変更したとき
・金型を別の成形メーカーへ移管したとき
・成形機や生産する工場を変更したとき
・長期間生産を休止した後に再開するとき

変更の内容によっては、全項目ではなく、影響する項目に絞って確認する場合もあります。どこまで確認するかは、変更の大きさに応じて決めます。

初品検査で確認する項目 ─ 寸法・外観・材料・機能

初品検査では、主に次の項目を確認します。

寸法は、図面に記載されたすべての寸法を測定します。多数個取りの金型では、キャビティごとに寸法が異なることがあるため、全キャビティで確認します(【多数個取り金型の寸法検査は全キャビティ測定が必要か ─ キャビティ間差の管理】)。外観は、ウェルドラインやヒケ、色などを、限度見本などの判定基準と照らし合わせます(【射出成形品の限度見本とは?作り方と外観検査の合否基準を揃える方法】)。

材料については、CoAなどで指定のグレードであることを確認します(【CoA・CoC・SDSは何が違う?樹脂材料の証明書入門】)。製品によっては、組み付けの確認や、強度などの機能の確認も行います。

大切なのは、成形条件が安定してから採取したサンプルで確認することです。成形を始めた直後の製品は、金型の温度などが安定しておらず、量産品の実力を正しく表しません。

初品検査成績書の記載項目

初品検査の結果は、初品検査成績書にまとめます。図面の寸法に番号を振り、その番号ごとに規格値、測定値、判定を記載するのが一般的です。これにより、どの寸法をどう確認したかが一目で分かります。

あわせて、成形条件、使用した材料のロット、サンプルの採取条件(成形開始からのショット数など)も記録しておくと、量産で問題が起きた際に比較の基準として活用できます。

規格を外れた項目があった場合は、金型の修正で対応するか、製品の機能への影響を確認したうえで公差について相談するかを、お客様と協議して決めます。

初品検査の取り決めと承認後の管理

初品検査については、次のような項目をあらかじめ取り決めておくと、スムーズに進められます。

・サンプルの数と採取するショット
・提出する書類(成績書、サンプル、材料の証明書など)と様式
・寸法を測定する条件と提出の時期

承認を受けた後は、その成形条件を量産の基準とし、条件を変更する際には、あらためて確認を行います。

当社では、寸法測定の経過時間や環境などを、お客様ご指定の条件に合わせて測定しています。ご要望に応じて、量産中もキャビティごとに寸法を管理することも可能です。また、他社でどうしても成形がうまくいかない金型のご相談も多くいただいています。初品検査で規格を満たせずお困りの際も、ぜひ当社へご相談ください。

射出成形品の初品検査チェックリスト

・初品検査と初物検査のどちらを指すのかを確認しているか
・初品検査が必要になる変更の範囲を取り決めているか
・図面の全寸法を、全キャビティで確認しているか
・成形条件が安定してから採取したサンプルで確認しているか
・提出書類と様式、測定条件を取り決めているか
・承認後に成形条件を変更する際の扱いを決めているか

まとめ

初品検査は、金型と成形条件が図面どおりの製品を安定して作れるかを確かめ、量産への移行を承認するための検査です。新規金型だけでなく、金型や材料、工場の変更時にも行います。全寸法・全キャビティの確認に加え、成形条件と材料ロットを記録しておくことで、量産の基準として活用できます。初品検査や量産立ち上げでお困りの際は、ぜひ当社へご相談ください。

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