技術コラム

AESの特徴

AESの特徴

AES(アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン)は、
ABSのブタジエンゴム成分をエチレンプロピレンゴム(EPDM)に
置き換えた熱可塑性樹脂です。
ABSと同様に、アクリロニトリルが耐熱性・耐薬品性を向上させ、
スチレンが剛性や加工性を向上させる役割を果たしますが、ゴム成分をEPDMに変更することで、耐候性が大幅に向上しています。
そのため、AESは屋外用途に適した材料として、自動車部品、
住宅設備、屋外電気機器の筐体などで広く使用されています。

優れた耐候性

AESの最大の特長は、EPDMゴム成分による優れた耐候性です。
ABSは紫外線による劣化が起こりやすく、長期間の屋外使用では表面が黄変・粉化することがありますが、
AESは紫外線や熱酸化による分解を抑え、長期間にわたって物性を維持することができます。
そのため、自動車の外装部品やエアコンの室外機カバー、屋外電気機器の筐体など、耐候性が求められる用途に適しています。

適度な機械的強度と耐衝撃性

AESは、ABSと同様に適度な剛性を持ち、機械的強度と耐衝撃性のバランスが取れた材料です。
ただし、ゴム成分をEPDMに変更したことで、耐衝撃性はABSよりも若干低下します。
そのため、強い衝撃が加わる用途では、AES単体ではなく、PC/AESアロイなどの強化グレードを選定することが推奨されます。

熱的特性(荷重たわみ温度)

AESの荷重たわみ温度(HDT)は一般的なABSと同等で、約85~100℃程度です。
耐熱性グレードでは110℃以上の連続使用が可能なものもあり、高温環境での適用範囲が広がっています。
ただし、耐熱性はPCやPBTなどのエンジニアリングプラスチックと比較すると劣るため、長時間高温にさらされる用途では
適切なグレードの選定が必要です。

成形加工性の良さ

AESは、ABSと同じく、流動性が良好で射出成形の充填性に優れています。
そのため、複雑な形状の製品でも成形が容易で、寸法精度を確保しやすい材料です。
また、押出成形や真空成形にも適しており、大型部品や薄肉部品の成形にも対応可能です。

耐薬品性

AESは、ABSと比較して、耐薬品性が向上しています。酸、アルカリ、油脂などに対する耐性があり、
住宅設備や屋外機器の筐体など、さまざまな化学薬品と接触する可能性のある環境での使用に適しています。
ただし、強い有機溶剤(アセトンやトルエンなど)には影響を受けやすいため、用途選定には注意が必要です。

電気特性(電気絶縁性)

AESは、比較的高い電気絶縁性を持ち、家電製品や電気機器の筐体に適した材料です。
ただし、耐アーク性や耐トラッキング性はPBTやPOMなどのエンジニアリングプラスチックに劣るため、
高電圧・高電流を扱う用途では慎重な選定が求められます。難燃グレードを選択することで、
UL94 V-0規格に適合した材料を使用することが可能です。

加工性と二次加工性

AESは、射出成形や押出成形に適しているだけでなく、接着や塗装などの二次加工も容易です。
特に、表面が滑らかで塗装密着性が高いため、カラーバリエーションの多いデザイン用途にも適しています。
また、ABSと同様にめっき加工も可能なため、高級感のある外装部品としての利用も増えています。

当社のAESの成形実績

水位計

本製品は水位計です。
以前は他社で製造されていましたが、クラックの発生が課題となっていました。
そこで、お客様から改善のご相談を受け、従来のPC素材の見直しを実施。
クラック防止と耐候性向上を目的にAES素材を提案し、設計を変更することで問題を解決しました。

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AESの成形なら射出成形の「駆け込み寺」.comにお任せください

射出成形の「駆け込み寺」.comを運営する府中プラ株式会社では、AESを含めた多くの汎用プラスチックの成形実績があり、様々な材質に対して、豊富な経験と高度な技術で最適な成形を実現します。
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