技術コラム

製品開発担当者必見 簡易金型のご案内

製品開発担当者必見 簡易金型のご案内

簡易金型は、主に試作や1回だけの限定的な小ロット生産等に特化した金型です。従来の鋼製金型と比較して、アルミニウムなどの軽量素材を使用することで、製作コストを抑え、短期間での納品が可能になります。このような特性から、製品開発の初期段階や市場投入前の検証において非常に有用なツールとなっています。

簡易金型の特徴

コスト効率

簡易金型は、通常の金型と比べて製作コストが約20%から30%低く抑えられることが特徴です。これにより、企業は初期投資を大幅に削減でき、新製品開発にかかるリスクを軽減することができます。

短納期

アルミ素材を使用し、既存のモールドベースを活用することで、簡易金型は短期間での製作が可能です。一般的には受注後、1週間から数週間以内に納品されるため、市場のニーズに迅速に対応できます。
当社では、形状が複雑で高い寸法精度を求められる製品の量産を急がれる場合、簡易金型より本金型での検証を推奨するケースもあります。このようなケースも含めて、お客様にとって最善かつ最も効率のいい進め方をご提案しています。

試作・金型

簡易金型は、試作や1回だけの限定的な小ロットの生産に最適です。一般的には、大量生産には向いていませんが、試作品や少量生産には非常に効果的です。当社ではお客様からのご要望も踏まえながら、1000個未満等、数量が小ロットで1回だけの生産の場合に対応しています。また、アルミでの製作となるため、アンダーカット形状等、製品形状によっては向いておらず、数十個程度の試作品対応のみの場合もあります。

柔軟性と適応力

設計変更が容易であるため、製品開発中のフィードバックを迅速に反映させることができます。この柔軟性は、特に市場のトレンドや顧客ニーズが変化する現代において重要な要素です。

簡易金型の用途

簡易金型はさまざまな用途で利用されています。以下はその代表的な例です。

試作品製作

新しい製品の試作品を迅速に製作し、市場での反応を確認するために使用されます。短期間で高品質な試作品を提供できるため、設計の検証や機能評価に最適です。

少量生産

特定の顧客向けや限定商品など、小規模な生産ラインで利用されます。大量生産用の金型を製作するコストや時間を削減しながら、必要な数量を効率よく生産することが可能です。

市場投入前検証

製品化前に機能やデザインを検証するための重要なステップとして位置付けられています。実際の使用環境で試作品を評価し、ユーザーからのフィードバックを基に改良を加えることができます。

形状確認・設計検証

設計段階での検証として、形状や組付けの適合性を確認するために活用されます。特に複雑な形状や嵌合が必要な部品では、簡易金型で試作を行い、設計の最適化を進めることが重要です。

簡易金型のメリット

スピードと効率

簡易金型は、その特性上、短期間で製作できるため、市場投入までの時間を大幅に短縮できます。これにより競争力が向上し、顧客ニーズへの迅速な対応が可能になります。

リスク管理

新製品開発にはリスクが伴いますが、簡易金型を利用することで初期投資を抑えつつ、市場反応を見ながら改善点を洗い出すことができます。このプロセスによって、不必要なコストや時間を削減できます。

高いカスタマイズ性

顧客ごとのニーズに応じて設計変更が容易であり、多様な形状やサイズへの対応も可能です。このカスタマイズ性は、多様化する市場ニーズへの適応力を高めます。

簡易金型の制限事項

ただし、簡易金型にはいくつかの制限があります。

耐久性

アルミ素材は、一般的に鋼材と比べて耐久性が劣るため、大量生産には不向きです。当社では、品質的観点からも、試作品としての製作や試作後の初回の小ロット生産といった限定的な場合にご提案しています。アンダーカット形状等があれば、その耐久性は100ショットにも満たない場合もありますので、製品デザインや形状に沿ったご提案をさせて頂きます。

精度

精度についても注意が必要です。そのため、当社では複雑な形状やお客様のご要望の精度に応じて金型の材質も提案しています。多くの場合には十分な精度を確保できるため、用途によって使い分けることが重要です。また、アルミ素材での簡易金型で射出成形をする場合でも基本的な流れは通常の金型と同じです。使用樹脂の収縮率を考慮した金型を製作後、その測定結果と検証内容を、量産型(鋼製)に反映させることでスムーズな量産移行のお手伝いをさせて頂きます。

目的に応じたご案内

例えば、内部部品の形状適合を確認するために試作したいが、強度評価は不要な場合には、3Dプリンターや切削加工品でのサンプル製作をご案内しています。また、量産ロットが多く、多数個取りでの本金型を想定している場合、まず鋼製金型で1キャビ作製してそれを活用して検証を実施し、その結果によって残りのキャビを加工して量産型に移行といった方法をご提案しています。当社ではお客様にとって、より合理的な方法で様々な角度からご提案いたします。

当社の簡易金型サービス

当社では、お客様のニーズに合わせた最適な簡易金型ソリューションを提供し、試作品から小ロット生産まで、多様なニーズに対応できる体制を整えています。また、お客様との密なコミュニケーションを通じて、最良の結果を追求しています。特に当社では、以下のような場合に簡易金型での製作をご案内しています。

生産数が数百個程度で、出来る限りコストを抑えて樹脂化したい場合

鋼製金型では製作コストが高くなり、また、切削加工による代替もコスト面で課題がある場合、簡易金型が有効な選択肢となります。試作や限定的な生産に適しています。

量産仕様の樹脂でサンプル作製し、組立強度等の試験評価を行いたい場合

量産用の樹脂銘柄に対応する切削素材がない場合、成形サンプルを作製する必要があります。簡易金型を用いれば、より自由度の高い材料選定が可能となります。

短納期かつ小ロットでサンプルが必要な場合

数週間で少量のサンプルが必要な場合、簡易金型は迅速な対応が可能な手段のひとつです。開発スケジュールが限られている中でも、短期間で実物の評価を行うことができます。

当社では、エンプラ、スーパーエンプラを中心に材料約900種類のグレード、3000型超の成形実績とともに難易度の高い材料での射出成形の技術の蓄積データと同時に様々な材質や製品形状に柔軟に対応できる金型設計のノウハウを持っています。また、流動解析や3Dプリンターの活用によって量産、製品立ち上げまでの期間短縮も可能です。簡易金型での対応はもちろんのこと、量産プロセスまで様々なアプローチでご提案いたします。

>>お問い合わせはこちら

関連情報