キーエンス製 画像検査装置LM-1000を活用した射出成形品の品質管理

射出成形メーカーとして、当社は常に高品質な製品をお客様に提供することを使命としています。今日の製造業において、品質管理は競争力を維持・向上させるための重要な要素であり、その中でも画像検査装置は、品質管理の精度と効率を飛躍的に向上させるための不可欠なツールとなっています。
画像検査装置は、従来の目視検査では困難であった微細な欠陥や、複雑な形状の測定を可能にし、品質管理の自動化、省人化に大きく貢献します。近年、AI技術との連携により、その性能はますます進化しており、製造業における品質管理のあり方を大きく変えようとしています。
本コラムでは、当社の品質管理水準をさらに向上させるために導入した、キーエンス製画像検査装置についてご紹介します。画像検査装置の導入背景から、選定理由、具体的な機能、そして当社の品質管理体制にどのように貢献しているのかを詳しく解説します(画像はキーエンス社のカタログより転載)。
当社の品質管理体制における課題
射出成形品の品質を維持するためには、様々な検査工程が必要です。従来、当社では、寸法測定にはノギスやマイクロメーター、外観検査には目視検査といった方法を用いていました。これらの方法は、熟練した作業者の技術に依存する部分が大きく、以下のような課題がありました。
測定精度の限界
手動測定では、作業者によるバラツキが生じやすく、微細な寸法の測定には限界があります。また、複雑な形状の測定には時間がかかり、効率的な検査が困難でした。
目視検査の限界
目視検査は、作業者の経験や集中力に依存するため、見逃しが発生する可能性があります。また、長時間の作業では、作業者の負担が大きく、品質の維持が難しくなります。
データ収集の困難さ
手動で測定したデータは、記録や集計に手間がかかり、リアルタイムな品質管理が困難でした。また、データの分析にも時間がかかり、品質改善に繋げるのが難しいという課題がありました。
これらの課題を解決するために、当社では、画像検査装置の導入を検討しました。画像検査装置は、非接触で高速かつ高精度な測定が可能であり、品質管理の自動化、省人化に大きく貢献することが期待できます。
キーエンス製画像検査装置の選定理由
数ある画像検査装置の中から、当社がキーエンス製画像検査装置を選定した理由は、以下の通りです。
高度な技術力と豊富な実績
キーエンスは、画像処理技術において世界トップレベルの技術力を有しており、様々な業界で豊富な実績があります。その技術力は、高精度な測定と安定した動作を可能にし、当社の品質管理を強力にサポートしてくれると確信しました。
使いやすさと操作性
画像検査装置は、高度な技術を搭載している反面、操作が難しいというイメージがありました。しかし、キーエンス製の画像検査装置は、直感的なインターフェースと充実したサポート体制により、誰でも簡単に操作できることが評価できました。
充実したサポート体制
画像検査装置の導入から運用まで、キーエンスは手厚いサポートを提供して頂けます。導入前のコンサルティングから、導入後の技術指導、メンテナンスまで、一貫したサポート体制が整っており、安心して導入できると判断しました。
拡張性と柔軟性
キーエンス製の画像検査装置は、様々なオプション機能を追加することで、様々な検査ニーズに対応できます。将来的な品質管理の高度化にも対応できる拡張性と柔軟性が、当社の長期的な品質管理方針に合致すると考えました。
これらの理由から、当社はキーエンス製画像検査装置が、当社の品質管理体制を強化し、高品質な製品をお客様に提供するための最適なソリューションであると判断しました。
導入したキーエンス製画像検査装置の詳細と一般的な導入事例
当社が導入したキーエンス製画像検査装置は、画像寸法測定器 LM-1000です。LM-1000は、以下の様な特徴を持つ画像検査装置です。
高解像度ダブルテレセントリックレンズ

新開発の高解像度ダブルテレセントリックレンズにより、倍率を上げてもエッジ部分が鮮明に見え、高精度な測定が可能です。
2000万画素モノクロCMOSセンサー

レンズの解像感を最大限に引き出す2000万画素モノクロCMOSセンサーを搭載し、より高精細な画像を手軽に確認できます。
サブピクセル処理

1画素を1/100以下に分解してエッジを検出するサブピクセル処理を採用し、高精度な測定を実現します。
マップナビゲーション機能

ステージカメラで対象物の全体を撮影するマップナビゲーション機能を搭載し、全体像から測定箇所を探して、倍率を上げてから測定箇所を指示できるので、誰でも直感的に操作ができます。
マルチライトシステム
複数の落射照明の機能を集約した可変照明ユニットを搭載。測定箇所に応じて照明装置を使い分ける必要がないので、測定時の作業効率が向上します。
高精度・低振動ステージ
モーターと送りねじの抵抗を極限まで低減した新設計を採用し、対象物を固定せずに、高速で安定した測定を可能にしました。
一般的な導入事例
キーエンスの画像寸法測定器LMシリーズは、様々な製造業の現場で導入され、品質管理の効率化に貢献しているようです。
電子部品メーカー
微細な電子部品の寸法測定にLMシリーズを導入し、測定精度を向上させ、不良品の流出を防止しています。また、測定データの自動記録により、トレーサビリティを確保し、品質保証体制を強化しています。
自動車部品メーカー
自動車部品の複雑な形状の測定にLMシリーズを導入し、測定時間を大幅に短縮しています。また、複数の箇所を同時に測定できる機能により、検査工程の効率化を実現しています。
医療機器メーカー
医療機器の精密な寸法測定にLMシリーズを導入し、高品質な製品の製造に貢献しています。また、非接触測定により、製品を傷つけることなく検査できるため、安心して使用できます。
当社における画像検査装置の活用事例
当社では、LM-1000を以下の様な検査工程で活用しています。
射出成形後の寸法検査
射出成形された製品の寸法が設計図面通りに仕上がっているかを検査します。特に、複雑な形状や微細な寸法が要求される製品において、LM-1000の高精度な測定能力が威力を発揮します。
外観検査
製品表面のキズ、バリ、異物などの外観不良を定量評価します。高解像度カメラと多彩な照明機能を活用することで、目視検査では見逃してしまうような微細な欠陥も数値で評価することが可能です。
具体的な事例
ある製品において、従来はノギスとマイクロメーターによる手動測定を行っていました。しかし、手動測定では、測定箇所によって作業者によるバラツキが大きく、測定結果の信頼性に課題がありました。そこで、LM-1000を導入し、自動で寸法測定を行ったところ、測定時間が大幅に短縮され、測定結果のバラツキも解消されました。また、LM-1000による測定データは、自動で記録されるため、品質管理データの分析にも役立ち、製品の品質改善に繋げることができました。
検査における注意点、ノウハウ
LM-1000を効果的に活用するためには、以下の点に注意する必要があります。
適切な照明設定
製品の材質や形状に合わせて、最適な照明を選択することが重要です。LM-1000には、様々な照明機能が搭載されているため、最適な照明を選択することで、より鮮明な画像を取得し、正確な測定を行うことができます。
適切な測定箇所の設定
測定する箇所を正確に設定することが重要です。LM-1000には、直感的な操作で測定箇所を設定できる機能が搭載されているため、誰でも簡単に正確な測定を行うことができます。
定期的なメンテナンス
LM-1000を長期間安定して使用するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。キーエンスのメンテナンスサービスを利用することで、常に最適な状態でLM-1000を使用することができます。
品質管理体制の強化と今後の展望
キーエンス製画像検査装置LM-1000の導入により、当社の品質管理体制は大きく強化されました。
検査精度の向上
高精度な測定により、不良品の流出を未然に防ぎ、お客様に安心してご使用いただける製品を提供することができます。
検査時間の短縮
自動測定により、検査時間を大幅に短縮し、生産効率を向上させることができます。
品質データの活用
測定データを自動的に記録し、品質改善に活用することで、より高品質な製品の開発に繋げることができます。
今後は、LM-1000で収集したデータをAIと連携させることで、より高度な品質管理を実現したいと考えています。例えば、AIが過去のデータから不良品の発生パターンを学習し、リアルタイムで不良品の発生を予測することで、不良品の発生を未然に防ぐことができます。また、AIが最適な検査条件を自動的に設定することで、検査の効率化と精度向上を図ることができます。
まとめ
キーエンス製画像検査装置LM-1000の導入は、当社の品質管理体制を強化し、高品質な製品をお客様に提供するための重要な一歩となりました。
今後も、最新技術を積極的に導入し、品質管理体制の継続的な改善を図ることで、お客様からの信頼を当社の製品をご利用いただくお客様には、常に最高の品質をお約束いたします。