樹脂材料のロットトレーサビリティとは?材料ロットから製品までのつなぎ方
成形品に不具合が見つかったとき、影響の範囲をどこまで絞り込めるかは、材料から製品までのロットのつながりをどこまで追えるかで決まります。
【CoA・CoC・SDSは何が違う?樹脂材料の証明書入門】では、材料メーカーが発行するCoAにロット番号が記載されていることをご紹介しました。本コラムでは、その材料ロットから成形、出荷、製品への表示までを、どのようにつないでおけばよいかを解説します。
ロットトレーサビリティとは ─ 不具合時に影響範囲を絞り込む仕組み
ロットトレーサビリティとは、材料ロット、成形ロット、出荷ロットを互いに紐付け、どの製品にどの材料が使われ、いつどのように成形されたかを後からたどれるようにしておく仕組みです。
最も大きな目的は、不具合が起きた際に影響の範囲を特定し、対象を必要最小限に絞り込むことです。ロットのつながりが追えれば、特定の材料ロットや特定の期間の成形品だけを対象にでき、確認や交換の負担を小さくできます。原因が材料にあるのか、成形の工程にあるのかを切り分ける手がかりにもなります。
材料ロット・成形ロット・出荷ロットのつなぎ方と切り替え時の扱い
ロットをつなぐためには、各段階で次のような情報を記録しておきます。
・材料の受け入れ:材料メーカーのロット番号
・マスターバッチのブレンド:材料、カラーマスターのロット番号
・乾燥と投入:乾燥機やホッパーに投入した材料ロットと日時
・成形:成形日、成形機、金型、キャビティ
・二次加工:各工程のロット
・出荷:出荷ロットと、包装単位ごとのラベル
当社では、材料ロットは材料メーカーのロット番号で識別しています。成形ロットは1回の連続生産を1つのロットとし、システムで採番しています。そのうえで、成形ロットごとに使用した材料ロットを記録しています。
注意が必要なのが、材料ロットの切り替わりです。乾燥機やホッパーには前のロットの材料が残るため、切り替え直後は2つのロットが混ざる時間帯があります。前のロットを使い切ってから次のロットを投入する、切り替えの前後は両方のロットを使った可能性があるものとして扱う、といったルールを決めておくと、境界があいまいになりません。
成形品へのロット表示 ─ デイトマーク・キャビティ番号・ラベル
成形品やその包装にロットの情報を表示しておくと、製品が出荷された後でもロットをたどれます。表示の方法には、成形品に年月を示すデイトマーク、キャビティ番号(【キャビティ番号を成形品に表示する理由 ─ 多数個取り金型の不良追跡と表示位置の決め方】)、刻印のほか、包装へのラベル表示などがあります。
デイトマークやキャビティ番号は金型に組み込むものです。そのため、設計の段階で検討しておくと、量産の開始から活用できます。製品にデイトマークがある場合は、不具合のご連絡の際にあわせてお知らせいただけると、対象のロットを速やかに絞り込めます(【射出成形品で不具合が見つかったら何を伝える?原因分析を早める情報の揃え方】)。
粉砕材・マスターバッチなど複数ロットが混ざる場合の扱い
1つの成形品に複数のロットの材料が含まれる場合もあります。代表的なのが、粉砕材を使う場合です。粉砕材には、過去に成形した複数のロットの材料が含まれるため、粉砕材を使った成形ロットを識別できるようにしておくことが大切です。
また、着色にマスターバッチを使う場合は、主材料だけでなくマスターバッチのロットも記録しておくと、色の不具合が起きた際に原因を切り分けやすくなります。
トレーサビリティ記録の保管期間と取り決め方
ロットトレーサビリティについては、次のような項目をあらかじめ取り決めておくと安心です。
・どの粒度でロットを追うか(材料ロット、成形ロット、出荷ロット)
・記録の保管期間
・成形品や包装へのロットの表示方法
記録の保管期間は、製品の使用期間や、医療機器などの分野によって求められる長さが異なります。これらは品質保証協定書などに記載しておくのが一般的です。ロットの管理方法や表示の方法についてご不明な点があれば、当社へご相談ください。
樹脂材料のロットトレーサビリティチェックリスト
・材料ロット、成形ロット、出荷ロットが互いに紐付いているか
・成形ロットごとに使用した材料ロットが記録されているか
・材料ロットの切り替え時の扱いが決まっているか
・デイトマークやキャビティ番号の要否を設計段階で検討しているか
・粉砕材やマスターバッチのロットも追えるようになっているか
・記録の保管期間を品質保証協定書などで取り決めているか
まとめ
ロットトレーサビリティは、材料ロットから成形、出荷、製品への表示までをつなぎ、不具合の際に影響の範囲を必要最小限に絞り込むための仕組みです。材料ロットの切り替え時の扱いや、粉砕材・マスターバッチのロットまで含めて管理し、ロットの粒度や記録の保管期間を取り決めておくことで、いざというときに素早く対応できます。ロットの管理についてお困りの際は、ぜひ当社へご相談ください。





